横断歩道横断日記

横断歩道を渡れるだけでも嬉しいよね。

自意識過剰な人は美味いラーメンを食べたら良い。

夕方、開店10分前のラーメン屋に並ぶ。

このラーメン屋はすごく有名という訳でもないが、地元にとても愛されていて、大抵は開店前から行列ができている。

 

でも、この日は私が1番乗りだった。

 

並びながら、自省する。

早過ぎたか、と。

 

理想は、開店5分前くらいに着いて、既に2,3人が並んでいるところの後ろに並びたかった。

それも、最初からこのお店に行く目的だったのではなく、たまたまお店の前を通りかかったところで

「お、なんだ、ちょうど開店前じゃん。しかも普段めっちゃ並んでるのに、今ならすぐ入れるじゃん。ラッキー!」

的な雰囲気を装って並びたかった。

 

というのも、

「お前そこまでしてこの店でラーメン食べたいのかよ」

と思われたくないのである。

 

だからお店に行く時間はかなり注意したつもりだった。行列が増え出す前のギリギリの時間に通りかかることにかなりの注意を払った。

 

しかし、

「ギリギリを狙い過ぎてもし行列が既にできてしまっていたらどうしよう。」

という懸念が、店に向かう自分を早足にしてしまった。

 

で、結局10分前に着いて、しかも1番乗りだったと。

 

長い行列に並んで待たされるのは嫌だが、行列が全然できないところに1人並んでいるのも嫌である。

「確かにそのラーメン屋はいつも並んでるけど、この時間帯に並んでるのはセンス無いわ」

と、街に言われている気がしてくる。早く仲間が欲しい。

 

開店3分前くらいになって、やっと後ろに2人組が並んだ。正直かなりホッとした。

しかし、結局開店前に並んでいたのは私と後ろの2人組の3人だけだった。

 

開店時間になって、店主が店先に出てきて、並んでいる我々に「いらっしゃい」と声を掛けてきた。

私は店主と目を合わせられないでいた。

というのも、実は私はこの店に1週間前に行っている。わずか1週間ぶりの再訪なのである。

だから店主に

「こいつ、先週来たばっかなのにまた来たよ。しかも1番乗りで待ってるとかどんだけウチのラーメン食べたいんだよ。」

などと思われているのではないかと思ってしまうのである。

いや、実際にはそんなこと思っているはずないのに、そんなこと分かっているのに、そんな風に思っているのではないかと思ってしまっている自分が恥ずかしく、店主と目を合わせることができないのである。

 

そんな、コミュ障というカテゴリーにすら入るのか分からない挙動をとりながら、店に入った。

 

 

程なくして、私の席にラーメンが来た。

実食。美味い。

「大盛り」でオーダーしたラーメンだったが、あっという間に平らげた。

 

そして気づいた。

 

ラーメンを食べる前は、異常なまでに意識が内側に向いていた。過剰な自意識のせいで、外の世界を勝手に生きにくくしていた。

そんな自分が、ラーメンを食べている間は「うまい。」としか考えていなかった。意識は自分の外のラーメンに向いていた。その時間はただただ気持ちが良かった。

 

過剰な自意識は世界を自分の中に狭く狭く閉じ込めていくブラックホールのようなものだ。

そしてそのブラックホールは自ら生み出したものでありながら、自らの手ではどうしようもない場合であることも多い。

 

そんな時は美味いラーメンを食べよう。

自分の中にあるブラックホールの渦は、ラーメンのナルトと共に消化してしまおう。